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鳥の巣とは何か

鳥の巣は鳥の「家」?

 鳥の巣というと、人間の家のように、鳥が一年中そこで暮していると思う人がいるかもしれませんが、じつはそうではありません。
 鳥は卵を産むたびに新しく巣を作り、ヒナが巣立ってしまうと、もうその巣は使いません。夜は木の枝などにとまって寝るのです。
 たいていの巣は、使い終わったあと、雨や風や雪で自然に壊れてしまいます。


*太い枝でできたワシの巣や、土でできたツバメの巣、木の洞や巣箱など、壊れにくい材質のものは、翌年も残っていれば、あらたに巣材を足して使う可能性があります。


*アフリカのシャカイハタオリのように、一年じゅう巣に入って寝る鳥もいないわけではありませんが、珍しいです。

 僕が収集している鳥の巣は、もう使われない古巣だけです。

 鳥の巣探しをするのは繁殖期が終わってからで、鳥の生活をおびやかさないよう心がけています。

鳥によって巣も違うの?

 巣をつくる場所、材料、形態、作り方などは、鳥の種類によって違います。
 木の上、やぶの中、地面、水辺、家の軒先、洞窟の中・・

 おわん型の巣、皿型の巣、ボールのような巣、ぶらさがった靴下のような巣・・

 人間のように、作り方を親から教わるわけではなく、説明書があるわけでもありません。道具だって、自分のくちばしと脚だけです。
 春になると本能の命じるままに作ってしまうという生命の不思議さには、ただ驚くしかありません。

鳥の巣をみつけたら

 日本では、2月ごろから8月ごろまでが、巣作り・子育てのシーズンです。

 この時期に巣に近づくと、親鳥は警戒して巣作りをやめてしまったり、卵を見捨ててしまったりします。

 たまたま巣を見つけても、さわったり、周囲でさわいだりしないで、遠くからそっと見守るだけにしてください。

 秋から冬になって、葉の落ちた枝に残った巣は、もう使われない巣です。風で地面に落ちていることもあります。

 この小さな巣の中から、どんな鳥のヒナが何羽巣立っていったのだろう・・と想像してみてください。

鳥の巣は、生命のいれもの
一番大切なものを守り育てる場所

 地球という星に生きているのは人間だけではありません。
 果てしなく大きな宇宙があって、銀河があって、地球があって、空と海と陸地があって、そこに多くの生き物が住んでいます。
 偽物やまがい物が氾濫する今の世の中にあって、私たちが見失ってしまった「なんのために生きるのか」「生きていくのに何が必要か」ということを、鳥の巣は教えてくれるのではないでしょうか。

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サンコウチョウ/高い木の枝のわかれ目に、杉の皮やコケをクモの糸でからめて、深いカップ型の巣を作る。

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キセキレイ/川岸の石垣のすきまなどに、枯葉・細い根・樹皮・コケなどで皿型の巣を作り、中に動物の毛や羽毛などを敷く。とめてある車のエンジン室に作ってしまうこともある。

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​カワセミ/川の土手にくちばしで穴を掘り、一番奥を少し広くして卵を産む。

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コサメビタキ/横枝の上にのせるように、浅いカップ型の巣をつくる。ウメノキゴケをクモの糸ではりつけてカモフラージュに。

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